スポーツやイベントの中継現場では、限られた人員と時間の中で、いかに安定した映像・音声を送り出すかが常に課題となります。
近年はその解決策として、映像・制御・電源信号をIPネットワーク上で扱う「NDI」とリモートカメラが注目を集めています。映像・制御・電源をLANケーブル1本で伝送し、真夏の屋外という過酷な環境でも使用することができるNDI対応の屋外リモートカメラは大きな魅力です。
今回は、2026年7月にCATV局の中継車をNDI対応システムへと改修した事例をご紹介します。
CATV局の中継システムが抱える課題
スポーツやイベント中継では、カメラ1台ごとにカメラマンを配置する必要があり、限られた人員の確保が大きな負担となっていました。特にCATV局のように、地域の行事やスポーツを機動的にカバーする現場では、「少人数でどこまで多くのカメラを扱えるか」が運用効率を左右します。
一方で、こうしたIP化・省人化を進めようとすると、既存の機材や配線・ケーブルといった資産をどう活かすかが課題になります。すべてを新しい機材に入れ替えるのは現実的ではなく、今ある設備を活かしながら段階的にシステムを刷新することが求められていました。
さらに、映像をIP伝送するNDIでは避けられない「遅延」への対策も必要です。映像と音声のズレ(リップシンク)や、将来的なシステム拡張まで見据えたうえで、中継車全体を無理なくNDI対応へと最適化していくことが今回のポイントとなりました。
システム概要
既存の中継車システムにNDI出力に対応した屋外リモートカメラ BOLIN「EXU248N」を追加導入。カメラをリモート運用することで、1人のオペレーターが複数カメラをコントロールできる省人化した中継体制を実現しました。
NDI信号の伝送には特注の通信ボックスを製作し、既存の光カメラケーブルを活用。受信側は既存スイッチャー 朋栄「HVS-190S」にNDI入力ボード「HVS-NIF」を追加することで、デコーダーなどを用いることなくシンプルなシステム構成としました。
あわせて、NDIの遅延に伴うリップシンク対策として、チャンネルごとにディレイを設定可能で、スイッチャーとのタリー連動も実現するデジタルミキサー TASCAM「Sonicview 16」を、ネットワーク基盤にはNETGEAR ProAVスイッチ「M4250」シリーズを導入しています。
納入機器
- BOLIN 屋外リモートカメラ EXU248N 1台
- 朋栄 NDI入力ボード HVS-NIF(HVS-190S用) 1個
- NETGEAR ProAVスイッチ M4250シリーズ 1台
- 特注通信ボックス(光カメラケーブル伝送用) 1式
- TASCAM デジタルミキサー Sonicview 16 1台
システム概念図

屋外リモートカメラのNDI運用で中継現場を省人化

今回の刷新でまず大きなポイントとなったのが、屋外リモートカメラBOLIN「EXU248N」の導入です。屋外での使用を前提とした堅牢な設計に加え、NDI出力に対応しているため、映像と制御信号をまとめてIPネットワークへ載せられます。
従来はカメラごとにカメラマンを配置する必要がありましたが、リモートカメラをNDIで運用することで、1人のオペレーターが複数台のカメラをまとめて操作可能に。パン・チルト・ズームといったカメラワークを離れた場所から一括でコントロールでき、中継現場の省人化と人員配置の柔軟性を大きく高めました。
限られたスタッフでより多くのアングルをカバーできるようになり、「人手が足りず、撮りたい画が撮れない」という現場の悩みを解決しています。
既存の光カメラケーブルを活かし、100m超のNDI伝送を実現
NDIはIPネットワーク上で映像を扱う規格のため、LANケーブルでの伝送距離は最大100m程度が目安で、広い会場をカバーする屋外中継では距離が不足しがちです。また、すでにシステムカメラ用に数多く保有している光カメラケーブルを活用して配線したいというニーズもありました。
そこで今回は、NDI信号を光カメラケーブルで伝送するための特注の通信ボックスを製作。既存のケーブル資産をそのまま活かしながら、100mを超える長距離伝送を可能にしました。
「既存の機材を活かしたい」「距離の問題でIP化に踏み切れない」という現場に対して、特注品の製作も含めて最適な伝送方式を設計することでお応えしています。
リップシンク対策と、将来を見据えたネットワーク構築

NDIをはじめとするIP伝送では、映像処理の過程でどうしてもわずかな「遅延」が生じます。この遅延に対して音声のタイミングを合わせないと、映像と音声がズレる「リップシンク」の問題が発生してしまいます。
そこで今回は、個別チャンネルごとにディレイ(遅延)をかけられるデジタルミキサー TASCAM「Sonicview 16」を導入。映像の遅延量に合わせて音声側を細かく調整することで、映像と音声が同期した、違和感のない中継を実現しました。SonicviewはDante(オーディオのIP伝送規格)にも対応しており、将来的なMedia over IP化まで見据えた構成としています。
そして、NDIの安定運用を支える基盤となるのがNETGEAR ProAVスイッチ「M4250」シリーズです。M4250はProAV(放送・業務用映像)向けに設計されたネットワークスイッチで、NDIやDanteといったIP映像・音声を安定して扱えます。NDIシステムの構築・安定運用に欠かせないネットワーク基盤をしっかりと整えることで、現場で安心して使えるシステムに仕上げました。
放送・中継システムのNDI化はSOEシステムズにお任せください
中継システムのNDI化・IP化は、単なる機器の追加ではなく、既存設備・運用体制・将来の拡張性をふまえた「設計」が成果を大きく左右します。同じ「省人化したい」「IP化したい」というご要望でも、最適な解決策は現場ごとに異なります。
今回は、既存の光カメラケーブルやスイッチャーといった資産を活かしながら、屋外リモートカメラのNDI運用による省人化を実現しました。そのためには、事前の現場調査で、既存設備・運用方法・課題を正確に把握することから始まります。
私たちSOEシステムズは、数多くの映像・音響システムの設計・施工に携わってきました。NDIやDanteといったIP伝送技術にも精通し、特定メーカーに縛られない最適な機器構成のご提案から、特注品の製作・施工・アフターサポートまでをワンストップでご提供します。
- 「中継を少人数で回せるようにしたい」
- 「既存の機材を活かしてIP化したい」
- 「NDIを導入したいが、構築方法がわからない」
そうしたお悩みは、まずはお気軽にご相談ください。現場の環境を詳細に分析し、課題解決とご予算に合わせた最適なプランをご提案いたします。まずは無料の現地調査・コンサルティングから承ります。
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