• 2026.06.02
    • コラム

社内配信スタジオ構築ガイド。Web会議兼用で始めるウェビナー・Youtube内製化

「配信・ウェビナー、Youtube制作の外注費がかさむ」
「専用の配信スタジオを作るほどの予算もない」
「内製化したいがそもそもどうしたらいいかわからない」

総務・情報システム・広報に携わるビジネスパーソンの方は、このようなお悩みを抱えていないでしょうか?

その解決策は、会議室をWeb会議システムと配信スタジオの兼用にすることです。
配信スタジオを単独で構築するのに比べて、Web会議システムと一体で設計することで導入ハードルが大きく下がり、1部屋で2用途を回せるため投資効率も高まります。

本記事では、AVシステム導入のプロが、配信スタジオ × Web会議兼用システムの構築方法を、機材構成から費用感まで踏み込んで解説いたします。

1. 配信スタジオを社内に持つ価値と、会議室兼用が最適解な理由
2. 兼用システムの基本構成
3. 推奨機材構成
4. 概算の費用感と内製パートナー選び
5. まとめ

配信ニーズはコロナ後も減らない、むしろ常設化フェーズへ

ウェビナー、新卒採用説明会、社内研修、製品発表、Youtube配信─。
コロナ禍で一気に普及したオンライン配信は、現在「都度外注する一過性のもの」から「社内で常設・内製化するもの」へとフェーズが移行しています。

背景は複数あります。改正産業競争力強化法によりバーチャルオンリー型株主総会が解禁され、改正障害者差別解消法(2024年4月施行)により多言語・字幕配信のニーズも拡大。
コーポレートガバナンス強化の面では、経営層から「自社で発信する力を持て」と指示が下りるケースも増えています。一方で、外注配信は1回あたり30〜100万円規模、年複数回開催すれば百万円単位のランニングコストになります。

専用スタジオは必要ない

「配信スタジオ」と聞くと、本格的な防音工事や照明環境まで備えた、大規模の設備を想像される方が少なくありません。しかし、ウェビナーやYoutube配信であれば、そこまでの設備は過剰です。

会議室をWeb会議システムと配信スタジオの兼用にすることで、必要な環境を一から作り込む必要がなくなり、低コストで実用的な配信環境を構築できます。
Web会議用の機材投資が配信機材としても活きるため、配信スタジオ単独で構築する場合と比べて導入のハードルを大きく下げられるのが最大のポイントです。

兼用化の4つのメリット

  • コスト効率:1部屋で2用途、稼働率倍増
  • 操作性:いつもの会議室がワンタッチで配信モードへ切替可能
  • 柔軟性:持ち込みPCでも事前準備ゼロ、システムに接続すればすぐに使用可能
  • 費用対効果:配信頻度の高い企業ほど内製化の投資効率が大きい

配信とWeb会議で使用する機材は、元々共通したものが多く兼用システムを構築するのは実はそこまで難しくありません。ただ、配信では使うがWeb会議ではあまり使わないもの、もちろんその逆もしかりです。兼用システムを構築する上では、互いのシステムの橋渡し役となる機材の選定が重要です。

今回ご提案するシステムは、映像・音声にネットワーク伝送「NDI」と「Dante」を活用します。
従来のアナログシステムと異なり、LANケーブル1本で複数の映像・音声を同時に伝送できるため、配線がシンプルで拡張性が高く、配信用途とWeb会議用途で同じ機材を柔軟に共有できます。

  • マイク
    ・ネットワークオーディオ規格「Dante」に対応したマイクを選定
    ・利便性を考慮してワイヤレスマイクにすることをおすすめ
  • デジタルオーディオプロセッサー(DSP)
    ・配信時にはエコー除去は不要で切替え可能な機種を選定
    ・Web会議時にエコーやノイズを自動で除去
  • PTZカメラ
    ・遠隔操作でパン・チルト・ズームができる「NDI」対応のPTZカメラを選定
    ・台数やスペックはコストと求める映像クオリティのバランスを考慮
  • ネットワークスイッチ
    ・NDIとDanteの両方に最適化された業務用モデルが必要
    ・マイク・カメラ・PCをLANケーブル1本で繋ぐ
  • PC
    ・デスクトップPCで配信・録画とWeb会議のホスト端末の役割を兼用
    ・Web会議時は持ち込みPCも使用可能な設計とすること
  • 大型モニター・スピーカー
    ・会議室の正面に設置する大型ディスプレイ
    ・Web会議時は相手の映像と共有資料を表示、配信時は演者のモニタリング画面として活用
    ・スピーカーはDante対応のPoEスピーカーがシステム構築や施工面でスマート
Shure Microflex Wireless neXt 2

1.9GHz帯を使用した2chワイヤレスマイクシステムです。受信機・マイク充電器・DSPを一体化したユニットとマイクのセット構成により、シンプルかつ高機能なマイク環境を実現します。4つの動作モードを搭載し、配信・Web会議・オフライン会議などの用途切替をワンタッチで行えます。
マイクは3種類ラインナップされており、兼用システムでは複数人のWeb会議でも対応可能なバウンダリーマイクを選定します。


出典:ヒビノインターサウンド

OBSBOT Tail Air

NDI搭載のコストパフォーマンスに優れたPTZカメラです。AIによるオートトラッキング機能でカメラ操作の省人化が図れます。


出典:OBSBOT

YAMAHA SWX2210P-10G

NDI、Danteに対応したPoEスイッチです。Web設定画面からNDIとDanteに最適な設定を簡単に適用可能です。


出典:ヤマハ

デスクトップPCに配信・収録に必要なソフトウェアをインストールします。
Web会議システムはZoom、Teams、Google Meetなど任意のアプリケーションで構いません。

デスクトップPCのスペックはグラフィックボードを搭載したミドルスペックのものを用意して下さい。
配信や収録のエンコードと操作・演者モニタリング用に複数台のモニターに出力するにはNVIDIA RTX5060以上のグラフィックボードを搭載することを推奨します。

OBS Studio

OBS Studioは高性能な配信・収録を実現するオープンソースの無料ソフトウェアです。
様々な映像・音声ソースを取り扱うことが可能でこれ1台で配信・収録が完結します。
OBSで作成した映像はWeb会議システムにバーチャルカメラとして取り込むことが可能です。

出典: OBS Project

Dante Virtual Soundcard

Dante Virtual SoundcardはDanteオーディオをPCに取り込むためのソフトウェアです。
DSPが出力されるDanteオーディオをOBSに入力するために必ずインストールする必要があります。

出典: Dante

大型モニターは配信・収録がメインならハイスペックなものは不要ですが、Web会議やオフラインの会議でも高頻度で使用する場合は、なるべく高輝度で視認性の高い機種を選定しましょう。
サイズの目安は65~85インチがおすすめです。

スピーカーはDante対応のパワードスピーカーがおすすめです。LANケーブル1本で音声伝送と電源供給が可能で、施工が容易になります。

VXL Series “P model”

出典: ヤマハミュージックジャパン

4. 概算の費用感と内製パートナー選び

最後にこの兼用システムの概算の費用感をまとめます。
前項でご紹介した推奨構成の機材について概算金額を算出しました。
※接続に必要なケーブル関係などは含まず

機材概算金額
マイク・DSP45万円
PTZカメラ10万円
ネットワークスイッチ10万円
PC35万円
モニター・スピーカー60万円
合計160万円

「ウェビナー / Youtube配信・収録」と「日常のWeb会議」を1部屋でこなせる点を考えると、この費用感はコストパフォーマンスに優れた投資と判断できます。

ただ、機材を揃えただけではシステムは構築できません。システム構築を任せられる専門業者に内製化のパートナーとしてプロジェクトに参加してもらいましょう。

内製パートナー選びのチェックリスト

様々な知見を有する専門業者を、内製パートナーとして選定しましょう。ここがシステム構築成功の分かれ道になります。

  • 機材販売だけでなく現場調査からの設計・施工まで一気通貫で対応できるか
  • AV施工+コンテンツ制作+Web会議の3領域に知見があるか
  • 最新のAV伝送規格に精通しているか

社内配信スタジオの構築は、機材を揃えるだけでは完結しません。
会議室の現状や配信したい内容、配信・収録とWeb会議のどちらに重きを置くかなどを踏まえて、ネットワーク含めてトータルに提案できるパートナーを選定することが、失敗を避ける最大のポイントです。

5. まとめ

本記事のポイントを改めて整理します。

  • 社内配信スタジオは、会議室をWeb会議システムと兼用化することで導入ハードルを大きく下げられる
  • 映像はNDI、音声はDanteというIPベースのAV伝送規格を採用することで、配線がシンプルで拡張性の高いシステムが実現する
  • 適切な機材選定で配信モードとWeb会議モードを両立できる
  • 外注配信の数回分で機材投資を回収可能、配信頻度の高い企業ほど内製化の恩恵が大きい

Web会議システムという昨今では必須となった業務ツールと、なかなか自社構築することが難しい配信・収録システムを兼用することで、投資効率の最大化と自社の発信力向上に大きく寄与することができます。

配信・収録システムの内製化は、SOEシステムズにご相談ください

当社はAVシステムの設計・施工に20年以上携わり、特定メーカーに縛られない最適な機材構成のご提案から、ネットワーク設計・施工・運用サポートまでをワンストップでご提供しています。

更に、コンテンツ制作の機材・システムを長年提供してきたノウハウで、企業様のコンテンツ内製化をご支援いたします。

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Writer この記事を書いた人

鈴村 慎悟 SOEシステムズ 代表取締役

映像・音響業界で20年以上の経験を持つプロフェッショナル。 放送局・CATV局・映像制作会社向けのシステム納入を多数手がけるほか、LEDビジョンやプロジェクションマッピングにも精通。 これまで培った技術とノウハウをより多くの方に届けたいという想いから、SOEシステムズを設立、岡山を拠点に映像・音響ソリューションを提供している。 専門的なことも、噛み砕いて分かりやすくお伝えします。 『こんなこと聞いていいのかな』という些細なことでも、お気軽にご相談ください。

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