
目次
1. オンライン会議はマイク選びが最も重要
2. 主要オンライン会議システムの特徴
3. 参加人数別おすすめマイク
4. タイプ別音質・運用性・コストの比較表
5. 音声設定について
6. まとめ
1. オンライン会議はマイク選びが最も重要
現代の働き方に欠かせないツールとなったオンライン会議システム。
Web会議システムとも呼ばれ、様々な業種・職種で活用されています。
電話に比べ相手の顔やジェスチャーがわかること、資料共有が簡単なこと
大規模な会議を開催出来るなど様々なメリットはありますが、マイク選びを誤ることで
オンライン会議でもっとも重要な要素のひとつである”会話の品質”が損なわれ
「何を言っているのかわからない・・」「途中で途切れて議論に時間がかかる・・」など
逆に非効率的で生産性の低い会議になることがあります。
この記事では企業のDX推進、ITシステム、社内設備担当者様に向けて、オンライン会議でのマイク選びについて徹底解説します!
2. 主要オンライン会議システムの特徴
まずは現在普及している主要なオンライン会議システムから紹介します。
Zoom
Zoomは、米国のZoom Video Communications社が提供するオンライン会議システムで、2024年4月からは「Zoom Workplace」としてビデオ会議だけでなくチームチャットやホワイトボードなどの機能も統合されたオールインワンのコラボレーションプラットフォームとなっています。
高品質なビデオ・音声通信と直感的で使いやすいインターフェースに定評があり、従来はオンライン会議と言えば専用端末を用いたシステムが主流でしたが新型コロナの流行という時代背景もありZoomが主要ベンダーの筆頭として加速的に普及が進みました。
また、「Zoom Rooms」ライセンスと専用ハードウェアを会議室などに設置することで、大規模な会議システムの構築や複数カメラとAIによる参加者別のカメラ映像の自動表示など拡張性にも優れています。
経験上、Zoomの音声処理が最も優れていると感じています。重要な役員会議やオンラインでの新商品発表会など、高品位な音声が求められるシーンではZoomを使用することをお勧めします。
Microsoft Teams
Microsoft Teamsは、Microsoft365を契約しているユーザーなら誰でも使用可能でオンライン会議の他にチャット、ファイル共有、タスク管理などチームでの業務を効率化する機能を備えています。
前述の通り、Microsoft365を導入している多くの法人はオンライン会議でTeamsを使用しており、現在では最も身近なオンライン会議システムになっています。
多くの企業が既にWord、Excel、OutlookといったMicrosoft製品を日常業務で利用しており、Teamsはこれらのツールとシームレスに統合されている強みがあります。
Zoomと同様「Teams Rooms」ライセンスと専用ハードウェアを用いることで運用面や品質面の向上が可能です。
このZoom、Teamsに共通した「Roomsシステム」は会議室常設なので簡単に高品位なオンライン会議システムを使用出来たり、ノートPCを持たない社員もオンライン会議を開催出来るメリットがあります。
Google Meet
Google Meetは、Googleが提供するオンライン会議システムでシンプルな操作性と、多くの企業で導入されているビジネス向けツール「Google Workspace」との高い連携性が特徴です。
普段の業務においてGmailやGoogleカレンダーを始め「Google Workspace」のツールを使用されている方も多いと思います。そういった方はGoogle Meetを活用することで、さらなる業務効率化を図ることが出来ます。
Google MeetはZoomやTeamsに比べれば使用されている割合は低いですが、後述の生成AIの搭載などで使い勝手が向上しておりそのシェアを少しずつ伸ばしています。
生成AIを搭載
すべてのツールに共通して有料プランに加入すると生成AIの活用が可能となり、会議内容のリアルタイム要約や自動議事録作成などの機能が追加されます。
Google Meetでは2025年5月に英語とスペイン語間のリアルタイム音声翻訳機能※が発表され、グローバル企業での導入がさらに進むことが予想されます。
※2025年5月時点 Google AI Pro および Ultraに加入が必要。Google Workspace契約者には2025年内に早期テストとしての提供が始まる予定。
3.参加人数別おすすめマイク
それではオンライン会議システムにおいて参加人数別のおすすめマイク(マイク・スピーカーシステム)をご紹介します。
参加人数に応じたマイクの選定が会議の良し悪しを左右すると言っても過言ではありません。
2~6人向け
雑音の多い環境下でも快適に会話が可能で、6名程度までのオンライン会議に最適なマイク・スピーカーです。

【特長】
- SoundCapモード: 収音範囲制限、マイク自動ミュート、スピーカー音量自動調整から構成され、オープンスペースでのオンライン会議で特に効果を発揮します。
注意点: SoundCapモードでは集音範囲が半径1mに制限されるため、会議室などの閉鎖空間ではスタンダードモードでの使用が推奨されます。 - 高品質な音声処理: ヤマハが長年培ってきたエコーキャンセラーなどの音声処理技術により、オンライン会議で起こりがちな「頭かけ」が起こりにくく、スムーズな対話を実現します。
“頭かけ”とは相手との交互の会話の中で、こちらが会話を始めたときの頭の部分だけ会話がとぎれることです。これはエコーキャンセラーなどの音声プロセッサーが最適に働いていないことを意味しています。ヤマハが長年培ってきたエコーキャンセラーなどの音声処理技術は優秀で、この”頭かけ”が起こりにくい印象です。
パナソニックのPressIT360 (TY-CSP1) は、オンライン会議向けに設計されたオールインワンデバイスです。

【特長】
- 統合型デザイン: 高性能な360度カメラ、マイク、スピーカーを一台に集約しています。
- 高品質な音声: 水平360度をカバーするマイクを搭載し、エコー・ノイズキャンセリング、音量均一化機能により、参加者の声が聞き取りやすくなるよう自動調整します。
- 多様な映像モード: 4つのカメラで水平360度の広範囲を撮影し、5種類の映像モードでシーンに合わせた最適なカメラレイアウトで会議を進めることができます。
- Teams認証取得: Microsoft Teamsの認証も取得しており、安心してオンライン会議で使用できます。
7~12人向け
YVC-1000は上記で紹介したYVC-331の上位機種として、柔軟な会議環境に対応するよう設計されているマイク・スピーカーです。

【特長】
- マイク拡張性: マイクを最大5台まで接続でき、部屋のレイアウトや参加人数に合わせて自由に設置できます。
- 大人数対応: 部屋のレイアウトとマイク台数によっては、最大20人程度の会議に対応可能です。
- 自動音質最適化: 室内の音響環境を学習し、自動で最適な音質に調整する機能を搭載しています。使用前に簡単なボタン操作を行うだけで、その場に合わせた最適な音響で利用できます。
天井設置型のスピーカーホンであるMXA902は、中小規模会議室向けに設計された一体型デバイスです。

【特長】
- 高音質集音: 最新のアレイマイクロホン技術により、6m×6mの広範囲を高音質で捉えます。
- 自然な音声出力: 薄型広拡散スピーカーが、自然でクリアな音声を出力します。
- 高度な信号処理: 内蔵のシグナルプロセッサー(DSP)が、高機能な音声処理を一台で実現します。
マイク、スピーカー、DSPが統合されているため、少ない機器で高品質かつ低コストなマイクシステムを構築できます。
従来の大規模システム向けシーリングアレイマイクとは異なり、より多くの中小規模の部屋にシンプルでコスト効率の良いシステムを導入したいというニーズに応える製品です。
シーリングアレイマイクは天井に設置されているため、一度セットアップしてしまえば使用時の準備や片付けの手間がほとんどかからず、音質にも優れているのがメリットです。
※本体とは別にUSBオーディオ・ネットワーク・インターフェースなどが必要です。
13~20人向け
RM-Wは部屋や会議スタイルに合わせて柔軟に運用出来るワイヤレスマイクシステムです。

【特長】
- ワイヤレスマイクの柔軟性:グースネック型と指向性が違う2種類のバウンダリー型を、使用状況や環境に合わせて選択可能。
- 拡張性:最大16台のマイクを接続可能で簡単にペアリングできます。
- 音質と運用面のバランス:グースネック型では口元にマイクを近づけた「オンマイク」で確実に集音が可能。バウンダリー型はマイクの存在を気にすることなく且つ音質面もしっかり。またケーブルの煩わしさが解消されるので準備や後片付けの手間が、有線タイプに比べて大幅に削減されています。
- 細かな音声調整機能:マイク1台ごとにEQなどの音声調整機能が搭載されており細かな調整が可能です。
RM-Wのメリットは何と言っても音質と運用面でのバランスに優れているところです。
運用面に優れたシーリングアレイマイクが音質的に不向きな環境でも、ワイヤレスの特長を活かすことで運用面を犠牲にしないシステム構築が可能です。
※本体とは別にUSBオーディオ・ネットワーク・インターフェースなどが必要です。
SHUREのシーリングアレイマイクのフラッグシップモデルです。

【特長】
最大8つの範囲をカバー:デフォルト状態では9m×9mの範囲をカバーし、必要に応じて最大8つのカバー範囲を設定しエリアごとにきめ細かい調整が可能。
- 柔軟かつ大規模なシステムが構築可能:複数台を組み合わせて使用することも可能で、さまざまな規模のスペースやレイアウトに応じてシステム構築することが可能です。
- マイクと連動したカメラトラッキング:ステアラブルカバレッジを使用すれば指定したエリアで発言した話者を高精度に特定し、自動的にカメラが話者を映し出す「カメラトラッキング」に対応しています。
- ボイスリフト:広い会議室などでは話者から離れている場合にが地声だと声が届かないことがあるため、シーリングアレイマイクで集音した声を離れた位置の天井スピーカーで拡声し補助することが可能です。
シーリングアレイマイクの利便性と高機能性を両立したMXA920はあらゆる会議環境に柔軟に対応したシステム構築が可能なモデルとなっています。
内蔵DSPを搭載していますが外部DSPの「P300」と組み合わせることで、更にオンライン会議に最適な音声環境を整えることが可能です。
※本体とは別にUSBオーディオ・ネットワーク・インターフェースなどが必要です。
4.タイプ別音質・運用性・コストの比較表
紹介したマイクシステムをタイプ別に比較表にまとめました。
拡張性(規模・人数)に合わせて音質・運用性・コストのバランスを考慮して選択することが重要になります。
比較表

5.音声設定について
前述の通り、マイクシステムには音声プロセッサーが内蔵されています
オンライン会議システムにも同様の音声処理機能が搭載されていて、同じ機能が同時に働いてしまう場合があります。この場合は音声が逆に聞こえにくくなったり、意図しない挙動をすることがあります。
その場合はマイク・スピーカー側、オンライン会議システム側どちらかの機能をオフすることをお勧めします。
6.まとめ
オンライン会議システムに対応したマイクシステムは環境や用途に応じた様々な機種があることをご紹介してきました。
オンライン会議が当たり前になった今、「聞き取りやすい」という基本的な品質が、会議の生産性を大きく向上させます。 小規模で手軽に始められるポータブルタイプから、準備の手間をなくし常に最適な環境を提供する天井設置タイプ、そして音質と運用面の両立を高レベルで実現するワイヤレスタイプまで、様々な選択肢があります。
その選択肢を十分に把握した上で環境や運用体制、予算に合わせたマイクシステムの選択がオンライン会議システム構築の成功のカギになります。また、マイクと会議システムの音声設定をしっかりと確認することも、トラブルを未然に防ぎ、性能を最大限に引き出すために重要な要素です。
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