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  • 2025.08.23
    • 課題解決事例

NDIとIP伝送装置を活用したリモートプロダクション事例のご紹介

2025年8月8-9日に広島県三原市で開催された「やっさ祭り」でNDIとIP伝送装置を活用したリモートプロダクションのトライアルが実施されました。

今回トライアルを実施されたのは地元三原市のケーブルテレビ放送やインターネットサービスを提供する株式会社MCAT様で、NDI対応の屋外リモートカメラとスイッチャー、高画質・超低遅延のIP映像伝送装置で高品位なリモート制作環境を構築した最新の事例をご紹介します。

現代の放送制作においての喫緊の課題は専門技能を有した技術者の不足と、夏の高校野球やお祭り・イベントシーズンに見られる40℃近い高温とゲリラ豪雨や台風などの気候変動です。

様々なメディアが乱立する昨今でもライブ番組は需要が高く、高校野球は言わずと知れたキラーコンテンツであり、お祭りのライブ番組制作は「伝統文化を広く伝え記録する」という社会的役割も有しています。

しかしながら、人手不足と屋外での過酷な制作環境はその必要性とは相反する要素であり、避けては通れない課題であることは放送制作に従事する関係者であれば自明の事実といえるでしょう。

その課題を解決するために継続して運用が可能なリモート制作環境を構築することが必須となります。

完全なリモート制作環境の構築には検証や時間、コストがかかります。その現場固有の要素もありまずはスモールスタートで環境構築と検証を実施し、改善を繰り返すのがベストプラクティスであると感じています。そのスモールスタートとして今回は下記をトライアルして頂きました。

今回試したこと

  • メインスイッチャーのオペレーションを現場ではなく本局のスタジオサブで実施
  • サブカメラを屋外リモートカメラに置き換え

使用機材

  • キヤノン 屋外型リモートカメラ CR-X300 2台
  • ソニー メディア・エッジプロセッサー(IP伝送装置) NXL-ME80 2台
  • 朋栄 3G/HDポータブルビデオスイッチャー HVS-190S / NDI入出力基板 HVS-NIF

狙った成果

  • 現場に派遣する技術スタッフの省人化と、それに伴うコスト削減
  • 猛暑や悪天候といった過酷な労働環境を回避
  • 一度に複数台のカメラオペレーションが可能になることでカメラマンの省人化
  • 現場の中継用サブシステムをなるべくコンパクトにし設営・撤収の簡略化

システム概念図

当初はNDIの遅延を危惧していましたが、実際の放送で使用しても問題ないレベルでした。
映像・制御・電源が一本のLANケーブルの敷設で完結することを考慮すればメリットの方が大きい結果になりました。屋外リモートカメラ「CR-X300」はPTZ動作が非常にスムースで、コントローラー「RC-IP1000」のカメラ映像プレビュー機能は大変使い勝手のよいオペレーションを実現していました。

ソニー「NXL-ME80」は超低遅延モードの4IN4OUT設定で使用。合計のビットレートは140Mbps(1回線あたり35Mbps)で自社専用光回線を活かした高画質・超低遅延の映像伝送を実現しました。
自社の専用光回線の活用はケーブルテレビ局様がもつ最大の強み・メリットでもあります。

今回のトライアルは、「スモールスタート」でありながら、放送業界が抱える「省人化」と「労働環境の改善」という大きな課題に対する、極めて有効な解決策であることを証明しました。

特に、ケーブルテレビ局様が持つ自社専用光回線という最大の強みを活かすことで、低遅延かつ高品質なリモートプロダクションが実現可能であると実証できた点は、大きな収穫と言えるでしょう。

この成功を第一歩として、お祭りだけでなく、夏の高校野球中継や地域の様々なイベントへと応用範囲を広げていく。今回の事例は、地域に根差した放送局が、テクノロジーを活用して持続可能な制作環境を構築し、これからも質の高い地域コンテンツを届け続けるための、確かな道筋を示しています。

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