河川や道路の様子をリアルタイムに伝える情報カメラは、放送・CATV局の番組制作や災害報道に欠かせない設備です。
一方で、カメラの台数が増えるほど「操作が複雑になる」という悩みも大きくなります。カメラごとに異なる操作画面や、調整卓に分散したリモコンが、少人数の現場では負担になりがちです。
今回は、CATV局のスタジオサブに自社開発のノーコードAV制御アプリ「SDC Studio」を導入した事例をご紹介します。情報カメラ5台とルーティングスイッチャーを、タブレット1台で一括制御できるようにしました。
情報カメラの運用で、現場が抱えていた3つの課題
このCATV局様ではスタジオサブ(副調整室)に6台の情報カメラの映像が集まっています。そのうち5台は、ネットワーク経由で操作できるPTZカメラです。カメラ映像はメインスイッチャーの手前にあるルーティングスイッチャーで選び、メインスイッチャーに送り出しています。
この運用には、次の3つの課題がありました。
- カメラごとにブラウザでアクセスしていた
ラックの操作PCから、1台ずつWeb画面を開く必要がありました。
技術担当者以外には、ラックのPCを触ること自体が負担でした。 - カメラごとにWeb画面が違い、操作を覚えにくい
ボタンの配置は機種ごとに異なり、使わない設定項目も並んでいます。
誤操作を心配して、操作できる人が限られていました。 - リモコンが調整卓に分散し、少人数では操作しにくい
カメラはラックのPC、映像の切替は調整卓のリモコンと、操作場所が分かれていました。
1人で両方をこなすのは困難でした。
システム概要
今回は既存の情報カメラシステムにノーコードAV制御アプリ「SDC Studio」で作成した専用操作パネルを搭載したタブレットPCを追加しました。タブレットPCには作成したパネルを運用するアプリ「SDC Operator」がインストールされており、各機器を無線LANアクセスポイントを経由してネットワークで制御します。
制御対象は、PTZカメラ5台とルーティングスイッチャー1台です。カメラ1台ごと、そしてスイッチャーごとにタブを分け、1つの操作パネルですべての機器を扱える構成としました。
制御対象機器
- i-PRO ネットワークPTZカメラ WV-S65340-Z4他 5台
- イメージニクス SDIスイッチャー ISF-1600 1台
導入したソフトウェア・機器
システム概念図
よく使うボタンだけに絞り、技術担当者以外でも迷わない画面に

操作パネルの上部には、カメラ5台とスイッチャーのタブを並べました。タブをタップするだけで、操作したい機器の画面に切り替わります。カメラごとにブラウザでアクセスし直す手間は、もう必要ありません。
カメラ操作画面は、日常の運用で使う機能だけに絞り込みました。ライブ映像を中央に大きく表示し、その周りに操作ボタンを配置しています。
- パン・チルト:ジョイスティックで直感的に向きを変更
- ズーム:TELE/WIDEの2ボタン
- フォーカス:オートフォーカスと「近」「遠」の手動調整
- 明るさ:「明るく」「暗く」「リセット」と赤外線照明のON/OFF
- プリセット:HOMEと登録済みの画角をワンタッチで呼び出し
メーカー純正のWeb画面には、多くの操作・設定項目があります。しかし、運用時に必要な操作は限られています。不要なボタンを置かないことで、誤操作の心配がなくなり、誰が操作してもミスが起きにくい運用を実現しています。
ボタンは機能ごとに色分けし、タブレットでも押しやすい大きさにしました。5台のカメラはすべて同じレイアウトで統一しているため、1台の操作を覚えれば、残りのカメラも同じ手順で扱えます。
スイッチャー画面で、映像を確認しながらワンタッチで切替

スイッチャーのタブでは、6台のカメラ映像をマルチビューで一覧できます。その下に出力先(OUT1/OUT2)ごとのカメラ選択ボタンを配置しました。映像を確認しながら、ボタン1つでメインスイッチャーへ送るカメラを切り替えられます。
画面右側には「応答ログ」を表示し、送ったコマンドが機器に届いたかをその場で確認できるようにしています。応答ログを見ると、各コマンドは約0.07〜0.1秒で機器から応答が返っています。
タブレットPCで、席を選ばず操作できる環境に

操作端末にはタブレットPCを採用しました。これまでのようにラックの前まで移動する必要はなく、調整卓の手元に置いたまま、カメラ操作と映像の切替を行えます。
スイッチャー卓の隣に置けば、1人のオペレーターがスイッチャー操作とカメラの画角合わせを並行して進められます。持ち運びもできるため、その日の体制に合わせて操作する場所を変えられます。固定された席に縛られない点も、少人数の現場では大きな利点です。
ノーコードAV制御アプリ「SDC Studio」だから実現できたこと
複数メーカーの機器をまとめて操作する仕組みは、これまで専用の制御システムでプログラムを組んで構築するのが一般的でした。高機能な反面、導入費用がかさみ、画面を少し変えるだけでも改修作業が必要になります。
SDC Studioは、こうした課題を解消するために私たちが自社開発したAV制御アプリです。
- プログラミング不要で、現場に合わせた画面を作れる
パーツを画面に配置し、機器のコマンドを割り当てるだけで操作パネルが完成します。
運用開始後のボタン追加などにも、画面の修正で柔軟に対応できます。 - メーカーの異なる機器を、1つの画面で扱える
特定メーカーに依存しない、マルチベンダー対応のアプリです。
既存設備を活かしたまま、操作環境だけを改善できます。 - 放送現場を知る開発元が、設計から納入まで一貫して対応
放送局・CATV局向けのシステム納入に、数多く携わってきました。
制御仕様の調査からパネル設計・設置調整まで一貫して担当します。
導入によって得られた効果
現場担当者にとって
- カメラの切替・操作が、タブの選択とボタン操作だけで完結するようになった
- 技術担当者以外のスタッフも、安心してカメラを操作できるようになった
- 手元のタブレットで、カメラ操作と映像の切替を1人で並行して行えるようになった
経営・設備管理の視点で
- 既存のカメラ・スイッチャーを更新せず、ソフトウェアの導入で操作性を改善できた
- 操作できる人が増え、特定の担当者に頼らない運用体制を作りやすくなった
- カメラの増設や機器の入れ替えにも、操作パネルの修正で対応できる
ネットワークカメラを用いた情報カメラシステムの構築については、情報カメラシステムの導入事例でもご紹介しています。あわせてご覧ください。
AV機器の操作をシンプルにしたい方は、SOEシステムズにご相談ください
カメラやスイッチャー、プロジェクター、音響機器など、AV機器の操作が分かりにくいという悩みは多くの現場に共通しています。そして、その解決策は必ずしも「機器の入れ替え」ではありません。
今回のように、今ある機器を活かしたまま「操作する仕組み」を整えるだけで、現場の負担は大きく変わります。そのためにも、まずは現場で誰がどのように機器を使っているのかを把握することが出発点です。
- 「複数台のカメラを、もっと簡単に操作したい」
- 「担当者以外でも使える操作パネルを用意したい」
- 「メーカーの違う機器を、1つの画面でまとめて制御したい」
こうしたお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。現場の機器構成と運用方法をうかがい、SDC Studioでどのような操作画面にできるか、具体的にご提案します。まずは無料の現地調査・コンサルティングから承ります。
SDC Studioは無料版もご用意しています。ご自身で試してみたい方は、SDC Studio公式サイトからダウンロードできます。
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